都市エリア産学官連携推進事業

事業の概要・成果

医療機器産業クラスターの形成へ向けた取り組み

都市エリア発展型事業では、一般型で開発したハプティック(触覚)技術を核とし、非侵襲・低侵襲型の次世代医療福祉機器の研究開発を進めた。また、「郡山地域に医療福祉機器産業クラスターの形成」を目標とし、それまでに構築した産学官ネットワークを活用し、「うつくしま次世代医療産業集積プロジェクト」事業と合わせて実施することにより、以下の成果を得た。
核となる研究機関
  • 日本大学工学部
  • 福島県立医科大学
  • 福島大学
主な参加研究機関
  • 産・・・(株)ピーアンドエム、アスター工業(株)、(株)アトム 他
  • 学・・・日本大学工学部、福島県立医科大学、福島大学 他
  • 官・・・福島県ハイテクプラザ、福島県産業振興センター畜産研究所、(独)家畜改良センター 他

国際メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ 本事業の成果をもとに、ふくしま次世代医療機器産業集積プロジェクト事業(県単独)及び経済産業省の広域的新事業支援ネットワーク拠点重点強化事業を活用し、キャッチコピー「試作からOEM生産まで医療機器設計・製造拠点福島の桃戦」を掲げて医療機器産業創出の基盤形成の取り組みを進めている。
 その中から、「福島県医療福祉機器研究会」(会員157団体170名)、さらに、「ものづくり分科会」を結成し、医療機器の試作開発やOEM生産の受注活動を開始している。

1.ハプティック(触覚)デバイスの集積化と高機能化、医療機器への応用

患部を触診するように、乳がんなどのしこりなどの硬さを画像化する次世代型の超音波診断装置、また、空中伝搬の超音波を用いた非接触型の眼圧診断装置を開発を目標とし以下の成果を得た。
1、ハプティック機能を有する高機能型超音波プローブの開発と臨床への応用
 位相シフト法の原理を導入した超音波触診プローブ、オプティカルデバイスによる位相シフト型体内腫瘍センシングシステム、血管内壁の硬さをセンシング・画像化するカテーテル、脳内血管腫瘍を治療するための高機能カテーテル、関節鏡下触診プローブ、位相シフト型血流・血圧計測システム及びパルスオキシメータの試作に成功した。
2、位相シフト法による非接触型眼圧診断装置の開発研究
 位相シフト法を従来よりも高周波帯域で駆動する技術を開発し、適用した計測システムが従来より測定再現性及び安定性に優れていることを確認、また、臨床現場に適用できる医療機器としての基本構成を構築し、基本計測システムを試作してモデル実験へ展開した。

 それぞれ、事業化に向けて医療機器メーカーによる試作や医療系研究機関での臨床試験が始まっている。

乳がんチェッカー,血圧測定装置

2.ハプティック計測による卵子・培養組織のバイオクオリティ評価システムの開発

体外受精卵や再生組織の品質を評価し、医療成績を向上させるための評価システムの開発を目標とし以下の成果を得た。
1、卵子のバイオクオリティ評価システムの開発
 MTS(マイクロタクタイルセンサー)プローブの高感度化を実現する設計方法の確立、及び誤差歩留まりを減らす安定製造技術の確立を目指した結果、位相変化を利用することで約10倍の感度を実現した。
 また、体外受精卵のバイオクオリティ評価については臨床試験まで進んでいる。
2、タクタイルマッピングによる培養組織のバイオクオリティ評価システムの開発
 MTS(マイクロタクタイルセンサー)プローブ走査高速動作におけるMTS安定化のために製作工程におけるばらつきの原因を検討し、MTS安定性試験を行った結果、従来の5.3倍の安定性を実現し、国内外の複数の研究機関において実用研究に供されている。 ※タクタイルマッピングシステム=2次元弾性率分布測定装置

体外受精卵子を触診、タクタイルマッピングシステム

3.ハプティック機能を持つやさしくやわらかい次世代ロボットハンド・アームの開発と医療支援システムへの応用

超軽量5指ロボットハンド限界の軽量化を図った人間共存型ロボットハンド・アームシステムの開発を目標とし以下の成果を得た。

 高精度化小型化された指関節用立体カム、超軽量構造材の開発に成功し、これらを用い、5指ロボットハンドシステム、8自由度ロボットマニピュレータを開発した。ハプティックセンサーの組み込みには至らなかったが、要素技術である立体カムについては特許実施許諾を行った。
 また、開発した超軽量素材、低摩耗材については共同研究を継続している。
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